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ZEPHYR-Wright

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【  2019年02月  】 更新履歴 

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  02.18.  【 キロンの物語 桜餅 】  桜餅part.2 (キロンの物語1)   さわりを読む▼
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桜餅part.1 (キロンの物語1)

キロンの物語 桜餅

  いつもと同じ路線バスを降り、スーパーで買い物をした。 一人分の買い物。すぐに終わるが、レジに向かう途中で桜餅があるのに気づいた。三個入り。それをかごに入れた。 買い物の短い時間で、日はすっかり落ちてしまい、街は暗くなった。 アパートまで五分の道のり、同じように帰宅途上の人の群れに混じって、塾帰りだろうか、中学生になるかならないかくらいの女の子がわたしのそばを駆けていく。「ママ!」 そう言って戸建...全文を読む


桜餅part.2 (キロンの物語1)

キロンの物語 桜餅

  何も言い訳はできない。当時の自分があまりにも未熟で、おかしかったとしかいいようがない。 当時、わたしは何も楽しみがないように感じていた。特にこれといった趣味もなく、秀でた職能があるわけでもなく、ただ子育てをし、夫は仕事ばかりで見向きもしてくれないと、勝手に思い込んでいた。 そんなとき大学時代の学友・明山と街で偶然に再会した。 明山は聡史と共通の友人だったが、本当はわたしに好意を寄せてくれていた男...全文を読む


桜餅part.3 (キロンの物語1)

キロンの物語 桜餅

  ――すべて知っています。 頭が真っ白になった。 わたしはたぶん、かなり長い間、その一枚の便せんの文字を見つめ、その場に凝固していた。そして、隣の離婚届に記入されている夫の署名と捺印を交互に見つめていた。「すべて知っています」という言葉の意味が、ちゃんと頭に入ってくるまでに、とても長い時間を要したように感じた。 理解することを、たぶん拒否していたのだと思う。  娘。 あるとき、頭の中でつながり、わた...全文を読む


桜餅part.4 (キロンの物語1)

キロンの物語 桜餅

  弁護士に指定された面談会場で、ようやく夫に再会することができた。 すぐに土下座した。一緒に来た両親も。 決壊したように涙があふれ、みるみる床に水たまりを作った。 わたしは自分が何をしゃべっているのかも、よくわからないほどだった。懺悔の言葉と許しを請う言葉を、えんえんと繰り返し吐いた。叫ぶように。 どうか捨てないでほしい。なんでもする。一生かけて償います。 しかし、夫は「お義父さん、お義母さんが謝...全文を読む


桜餅part.5 (キロンの物語1)

キロンの物語 桜餅

  面会日の二日前。 あの日がやってきた。 3.11―― 派遣で勤務していた会社のオフィスもパニックになった。余震の続く中、背筋が凍るような情報が次第に入ってきて、帰宅命令が出された。個別の会社の事情などよりも、この国が根底的に覆るような大きな危機感が直感的にあった。 地震発生直後から、わたしは幾度も聡史の携帯電話にかけていたが、まったくつながらなかった。メールを送っていたが、それも届いているのかどうかも...全文を読む


桜餅part.6 (キロンの物語1)

キロンの物語 桜餅

 「ど、どうして……?」「ちょっと前から考えていて、じつは明後日、話そうと思っていたんだ。ほら、1月にポリープの手術したっていったよね。そのときに、いろいろ思ったんだ。ああ、それに……こんなことが起きて、今の亜弥の様子を見て、よけいにね」 涙が勝手に、どんどん頬を伝って落ちるのがわかった。だけど、わたしは馬鹿みたいにずっと聡史の顔を、目を、見つめていた。やがてそれは潤んで見えなくなってしまい、手でこすっ...全文を読む


桜餅part.7 (キロンの物語1)

キロンの物語 桜餅

  そうして、わたしと聡史の再構築が始まった。 まずは少しずつならしていこうということで、最初は週末だけ実家にお泊まりするようにした(これは実質的に震災直後の土日からになった)。 ご両親は寛大にもわたしを温かく迎えてくれ、結婚したての頃と同じように接してくれた。 亜弥と過ごせる時間。 家族で囲む食卓。 わたしが取り戻したくて夢にまで見た光景だ。幾度も幾度も、その当たり前の団らんの中でうれしさのあまり...全文を読む


桜餅part.8 (キロンの物語1)

キロンの物語 桜餅

  聡史はこの世を去った。 信じられない。 現実が受け入れられない。  8月、彼は一度入院した。彼の中学時代の友人が勤める大学病院で手術を受けた。「大腸のポリープが大きくなっているので手術で切除します。なに、簡単なものですから、心配はいりませんよ」 その友人医師の説明に安心していたが、思いのほか手術は長かった。術後、聡史はなかなか食が戻らず、辛そうだった。 しかし、ひと月もすると以前とあまり変わらず...全文を読む


桜餅part.9 (キロンの物語1)

キロンの物語 桜餅

  一周忌の法要が執り行われた。 お寺での法要には、親戚だけではなく、聡史の主治医であった友人医師の姿もあった。なんでも、親御さんに聡史が頼んでいたらしい。一周忌には必ず彼を呼んでほしいと。 わたしは聞かされていなかったけれど、病床の彼からそんなことをいわれたら、ヒステリックに拒絶したかもしれない。わたしは最後の最後まで奇跡を信じたかった。けれど、彼はとっくに覚悟ができていたようだ。 法要の後、近し...全文を読む

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